健康コラム

高齢者の熱中症対策(院長コラム第8回)

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高齢者の熱中症対策(院長コラム第8回)

Q:高齢者の熱中症対策で何に気を付ければよいですか?

A:今年も暑い季節がやってきました。毎日のニュースを見ていると今年も相当な猛暑になるニュースやヨーロッパではすでに記録的な猛暑となり、わずか4日間で200人以上が熱波によって死亡したというニュースを見ました。

熱中症は誰にでも起こりますが、特に高齢者では注意が必要です。加齢に伴い、汗をかく力や皮膚の血流が低下して体内の熱を逃がしにくくなるほか、のどの渇きを感じる機能も低下するため、気づかないうちに脱水が進行しやすくなります。さらに、心不全や糖尿病、腎臓病などの慢性疾患や、利尿薬・睡眠薬などの服用も熱中症のリスクを高めることが知られています¹⁾。近年のレビューでは、75歳以上では高温環境による入院や死亡のリスクが特に高く、気候変動に伴う猛暑の増加により、高齢者への健康影響は今後さらに大きくなることが報告されています²⁾。

熱中症予防の基本は「のどが渇く前に水分を摂る」ことと体を冷やすことです。1回に多量の水分を飲むのではなく、少量ずつこまめに補給することが重要です。私は患者さんの心機能や腎機能を考慮したうえで、特に水分制限がない方には「1時間に1回、コップ半分程度の水分を意識して飲みましょう」とお勧めしています。また、十分な食事を摂ることも脱水予防につながります。屋内でも熱中症は起こるため、エアコンをためらわず使用し、室温は28℃以下を目安に保つこと、外出は暑さの厳しい時間帯を避けることが推奨されています³⁾。

もう一つ忘れてはならないのが、社会的な環境です。一人暮らしや社会的に孤立した高齢者では、体調の変化に気づいても助けを求められず、重症化してから発見されることがあります。家族や近隣住民、地域による日頃からの見守りや声かけは、熱中症の予防だけでなく、早期発見・早期対応にもつながる重要な取り組みです。
「まだ大丈夫」という思い込みが最も危険です。暑い日は無理をせず、涼しい環境を整え、こまめな水分補給を心掛けて、この夏を元気に乗り切りましょう。

参考文献
1.    Japanese Clinical Practice Guidelines for Management of Heatstroke 2024.
2.    Heat Tolerance in Older Adults: A Systematic Review. Núñez-Rodríguez S, et al. 2025.
3.    環境省. 熱中症環境保健マニュアル2022(追補版を含む).