健康コラム
認知症治療薬(レケンビ®とケサンラ®)(院長コラム第5回)
健康コラム
Column
院長の山本です。医療にまつわることに関して、ざっくばらんに皆様の疑問にQ&A形式でお答えしていこうかなと思っています。
A:これも外来で良く聞かれる質問です。正確には、レケンビ®とケサンラ®という、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる点滴薬が保険診療で使用できるようになりました。脳に蓄積する異常なたんぱく質「アミロイドβ」を減らし、記憶や思考力の低下を抑える効果が期待されます。あくまで進行を遅らせる効果が確認されたお薬で、一度進行した認知症を改善する効果はまだ確認できていないので発症前〜ごく初期での使用が推奨されます。
投与は点滴による静脈注射で、レケンビ®は2週ごと、ケサンラ®は月1回行います。副作用として頭痛、吐き気、発熱などのほか、脳の腫れや出血(ARIA=アリア)など重い症状が出ることもあります。ARIAは投与開始初期に起こりやすく、定期的なMRI検査での確認が必要です。点滴中はアレルギー反応や急な体調変化に備えて医療スタッフが監視します。高血圧や脳血管の病気がある人は脳出血リスクに注意が必要です。
当院でも、もの忘れ外来で適応を相談し投与できる体制を整えていますので、ご希望の方はお気軽にご相談いただければと思います。
藍野病院 院長 山本 直宗