健康コラム

マンジャロ®について(院長コラム第4回)

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マンジャロ®について(院長コラム第4回)

院長の山本です。医療にまつわることに関して、ざっくばらんに皆様の疑問にQ&A形式でお答えしていこうかなと思っています。

 

Q:テレビでやせ薬としてマンジャロ®っていうお薬があるとテレビで観ましたが、そんなお薬があるなら使ってみたいです。

A:マンジャロ®という薬は、もともと糖尿病の治療のために使われる薬で2023年に発売されました。最近では「よくやせる薬」として注目され、美容目的で使いたいという人が若年者の間で増えています。ですが、この薬をやせるためだけに使うことにはいくつかの問題があります。

まず体の面では、マンジャロは強い食欲をおさえる作用がありますが、気持ち悪くなったり、吐いてしまったり、お腹の調子が悪くなるなどの副作用もあります。少し専門的なお話になりますが、マンジャロ®は日本初のGIP/GLP-1受容体作動薬であり、視床下部(満腹中枢)に作用し食欲を抑制する作用と胃排出の遅延を通じて体重減少をもたらしますが、悪心、嘔吐、低血糖、胆嚢炎、膵炎などの副作用リスクも伴い、場合によっては身体に深刻な影響が出る場合があります。またマンジャロ®を「やせ薬」として使う場合は保険がきかず、すべて自費になります。薬は本来の使い方以外に使う場合、国のルールでは「正当な医療の目的」が必要とされています。美容目的だけで使うのは、そのルールに反する可能性があります。さらに、必要としている糖尿病の患者さんに薬が行きわたらなくなる心配もあります。やせたい人が増えて薬が品薄になると、本当に必要な糖尿病患者の人が困ってしまいます。

このように、マンジャロ®をやせるために安易に使うことは、体にも社会的にも問題があり、発売元の製薬会社も健康成人にやせ薬として使用することを明確に禁止しており、安易にネット上の自費診療で購入することはお勧めしません。必ず使用に際しては主治医の先生とよく適応を相談して使用することをお勧めします。


藍野病院 院長 山本 直宗