健康コラム
社会で暮らす私たちにとって、ストレスや悩みを抱えることは決して珍しいことではありません。そんなとき、人に相談すると気持ちが少し楽になった経験がある方も多いのではないでしょうか。では、なぜ相談すると気持ちが軽くなるのでしょうか。
現場で多くの患者さんやご家族と向き合う看護師の視点も交えながら、その理由と大切さをお伝えします。
ストレスや悩みを抱えているときは、脳の扁桃体という部分が活発に働き、不安や恐怖、怒りなどの感情が強くなります。
一方で、感じているストレスや悩みを言葉にして整理し始めると、物事を考えたり整理したりする役割を担う前頭前野が活発になります。前頭前野には、扁桃体の過剰な働きを抑える役割があるため、感情的な状態から冷静に考えられる状態へと脳の働きが切り替わり、「気持ちがスッキリした」と感じやすくなります。
さらに、相談した相手から「それは大変だったね」と共感や受容の言葉をかけてもらうことで、脳は安心感を得て、心身の緊張が和らぐことも分かっています。

医療現場でも、患者さんが「こんなこと話しても仕方ないけれど…」と、ご自身の病気や生活の不安をぽつりぽつりと話してくださることがよくあります。
「私たちは、患者さんが抱える痛みや不安は、必ずしもその場で『完璧に解決』できるわけではないことを知っています。しかし、言葉にして誰かに受け止めてもらうこと自体が、自然治癒力や前を向くエネルギーを引き出す大きな力になることを、日々の看護を通じて実感しています。」
「相談しても悩みはすぐに解決しないかもしれない」と感じて、ためらってしまうこともあるかもしれません。
しかし、相談すること自体がご自身の気持ちを整理し、ストレスを軽減する科学的な助けになります。
一人で抱え込まず、勇気を出して誰かに相談してみませんか。身近なご家族や友人はもちろん、医療従事者や相談窓口を利用することも大切です。

「話すこと」は、心を軽くするための大切な一歩です。
藍野花園病院 看護部
