前回コラム(令和8年1月掲載)に引き続き、デイケアスタッフおすすめの「こころの病について学べる漫画」をご紹介します。
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『Shrink〜精神科医ヨワイ〜』
原作:七海仁、漫画:月子(集英社)
1~16巻【連載継続中】
| 【あらすじ】 東京の下町で小さな精神科クリニックを営む、精神科医の弱井幸之助。いつも寝ぐせがついていて極度の偏食、部屋は散らかり放題と一見さえない弱井ですが、元々は海外名門大学への留学経験を持つ、将来を嘱望されたエリート研究医でした。弱井は「精神病患者は少ないが自殺者が多い国」である日本は「隠れ精神病大国」であると考えます。精神科への偏見がなくなり、もっと気軽に精神科を受診する人が増えることを願う弱井の元に、様々な患者さんがやってきます。 |

精神科をテーマにした漫画は過去にもありましたが、2019年から連載されているこの『Shrink』は、精神科医療漫画の金字塔と言ってよいと思います。扱っている精神疾患の多さ、各疾患の治療法や関連情報の豊富さと正確さにはデイケアスタッフ(看護師・作業療法士・心理師)も驚かされました。精神疾患についての入門書にピッタリですし、登場人物たちの回復・成長に共感できるストーリー漫画としても楽しめます。単行本の巻末には「困った時の相談先」一覧が毎回掲載されていて、そんなところにも作り手の誠実さが感じられます。
褒めてばかりですが、現実とは異なると感じる部分もあります。実際には、精神科医が1人1人の患者さんにこれほど時間を割くことは難しいと思います。また、患者さんやご家族が読んだ時に「こんなに簡単に良くなるものか?」と感じられるかもしれません。しかし、そこはフィクションだからこそ、理想を語り・希望を提示できると肯定的に受け取っても良いのではないかと思っています。
さて、デイケアでは2024年のテレビドラマ化をきっかけに購入を始めたのですが、当初気になっていたことがありました。それは、全精神疾患を網羅するかのようなレンジの広さに反して、「統合失調症」を扱っていないことでした。代表的な精神疾患の1つなので、何か意図があるのか?あえて避けているのか?と違和感を覚えたのですが、2025年秋に発売された16巻で、ついに統合失調症が取り上げられています。これまでと変わらず、綿密な取材に基づいて作られていると感じられるストーリー・キャラクター描写で、読んでいて引き込まれました。統合失調症編は次巻に続いているので、17巻が非常に待ち遠しいです。
最初から順番にではなく、興味のある所から読み始めても大丈夫な作品だと思います。“大まかに”ではありますが、以下に各巻に登場する精神疾患と関連事項をまとめましたので、これから読む時の参考にしてください。
1巻:パニック障害、精神保健福祉士(PSW)、うつ病、発達障害
2巻:発達障害【前巻の続き】、オープン就労、双極性障害、生活訓練施設
3巻:摂食障害、摂食障害自助グループ、PTSD
4巻:PTSD【前巻の続き】、EMDR、パーソナリティー障害
5巻:パーソナリティー障害【前巻の続き】、SST、精神科デイケア、アルコール依存症
6巻:アルコール依存症【前巻の続き】、AA(アルカホーリクス・アノニマス)、産後うつ
7巻:産後うつ【前巻の続き】、DV、自立援助ホーム
8巻:適応障害、高EE家族、就労継続支援A型事業をはじめ精神障害者雇用について
9巻:強迫症(強迫性障害)、ERP(暴露反応妨害法)
10巻:解離性障害(特に解離性同一性障害)、公認心理士
11巻:解離性障害【前巻の続き】、アンガーマネジメント
12巻:救急医療における精神科医の役割、薬物依存症
13巻:薬物依存症【前巻の続き】、ダルク、SMARPP(スマープ)、ハームリダクション
14巻:オーバートレーニング症候群、イップス
15巻:自立援助ホーム、児童虐待
16巻:統合失調症、精神科訪問看護、精神科作業療法
※9巻は「コロナ禍での精神科医療」がメインテーマです。
※「認知行動療法」は様々な疾患の治療場面で頻繁に登場します。
※テレビドラマは2024年にNHK総合・NHKBSにて、全3話で放送されました。中村倫也さんが演じるドラマ版の弱井先生も、とても素敵です!
※第5回さいとう・たかを賞 受賞作品
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◎精神科デイケアのページ https://www.koshokai.or.jp/aino_hanazono/psychiatry
藍野花園病院 精神科デイケア

