リハビリテーション科

リハビリテーションとは

「リハビリテーションrehabilitation」という言葉は、「適した、ふさわしい」という意味を持つラテン語の“habilis”という言葉に、 「再び」という意味を持つ接頭語“Re”を付けたものであり、人が何らかの理由でふさわしくない状態に陥った時、 そこから再びふさわしい状態に戻ることを意味する言葉で、昔は、宗教的に破門された人を元に戻す、 すなわち「権利の回復」を指す言葉として用いられていました。
近年、医学的には心身に何らかのハンディキャップを生じた場合、残った機能を利用して失われた機能を最大限補完して、 生活をできるだけ元の状態に戻すことを指しています。 かつては失われた機能を残存している機能でいかに補うかがリハビリテーションの主目的とされていましたが、 最近では単に機能を回復させるだけではなく、身体機能に障害が残存していても、 人間らしく生きる権利を回復する「人間の復権」という立場からリハビリテーションを理解するようになっています。

藍野病院のリハビリテーション科はすでに長い経験と実績を有していますが、内科系・外科系・精神科系など種々の診療科からの依頼を受けて、種々のハンディキャップをもつ多数の患者にリハビリテーションを施行しています。 そして、単に身体障害の生活機能改善のみを目的とした活動に終始せず、認知障害・身体障害を有する患者における「人間の復権」をどのように実現するかに全員で取り組んでいます。

当院リハビリテーション科の組織

当院のリハビリテーションは、日本リハビリテーション学会専門医の指導の下で、理学療法科、作業療法科、言語聴覚療法科のそれぞれ専門のスタッフが担当しています。

構成人員

  • 医師

    リハビリテーション科砂田医師

    砂田 一郎
          日本リハビリテーション医学会 専門医・指導医
          日本認知症学会 専門医・指導医
          日本脳神経外科学会 専門医
          日本脳卒中学会 専門医

  • 療法士
    リハビリテーション科スタッフ一同

    理学療法科        理学療法士        21名
    作業療法科        作業療法士        19名
    言語聴覚療法科   言語聴覚療法士   3名
             ※非常勤を含む (2024年1月1日現在)

また、当院のリハビリテーション科は以下の施設基準を満たしています。

  • 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
  • 運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
  • 廃用症候群リハビリテーション料(Ⅰ)
  • 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)
  • 認知症患者リハビリテーション料
  • 集団コミュニケーション療法料

各部門の紹介

1)理学療法科について

当院の理学療法科では、病気やケガによって生じた機能や動作の障害に対し、日常生活で行う基本的な動作(起き上がって坐る、歩くなど)の回復と改善を目標に、 それぞれの状態に合わせて、個別に訓練を行っています。また、温熱療法や超音波療法などの物理療法も担当しており、関節痛や筋緊張の緩和などに利用しています。

2)作業療法科について

当院の作業療法科は、身体障害部門、認知症部門の2部門に分かれています。

身体障害部門

身体障害部門では、急性期から慢性期まで幅広い対象者に対して、心身機能障害により低下した食事、着替え、排泄などの日常生活動作の改善や、 炊事:洗濯などの生活関連動作の獲得、社会参加・在宅復帰を目指した訓練を行っています。

認知症部門

認知症部門では、認知症治療病棟に入院されている方の個々の症状や能力を捉え、個別や集団での作業活動を用い、対象者の情緒の安定化、 残存する機能・能力の維持・向上、生活環境の調整を行い、安定した日常生活の維持や、生活の質を高めることを目指した作業療法を行っています。

3)言語聴覚療法科について

言語聴覚療法科では、脳梗塞や脳出血などの大脳障害による言語障害(失語)や声帯や喉頭疾患による発声障害に対する会話能力の改善や読書・書字能力の改善のための訓練と、 種々の原因による嚥下障害に対する食道造影を含む検査と食事摂取能力の改善のための訓練を行っています。

4)痙縮(けいしゅく)外来について

脳や脊髄の障害後に、手足の筋肉につっぱりや痛みが生じてきます。これを痙縮(けいしゅく)と言います。痙縮が生じると、患者さん自身も困りますが、着替えなど介護者の方も困ることとなります。
現在最も効果がある治療法は、ボツリヌス療法とその後のリハビリテーションです。ボツリヌス療法とは天然のボツリヌス菌が産生するタンパク質を有効成分とする薬剤をつっぱっている筋肉に直接注射する方法です。
当院でも砂田医師が2022年9月に赴任後に痙縮外来を開始し、1年間に延べ70件の治療を行ってきました。
希望される方は、予約制ですので、藍野病院リハビリテーション科までご連絡を賜りたく存じます。

 

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